指きりげんまん 嘘ついたら 遠くに引っ越す


by sholitude
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カテゴリ:カティストゥータ( 18 )

あなたは何にも知らないんだ。空色のパタパタと倒れるドミノを見て、陽気に歌など、ばからしい。近付いてくる、大きくなる、歌はどうした。速くなる、迫ってくる、空色のドミノ、歌がまた始まる。恐怖が震わせている喉の丘、その頂にはペンキを塗りかけた(諦めてしまったようにも見えます)三角屋根があり、窓を覗けばコーンスープを深いお皿によそう女性の姿を認めることができます。空色のドミノは倒れながらペンキになり、屋根を染めました。
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by sholitude | 2012-09-14 23:20 | カティストゥータ
捨てた。
捨ててやったもの、幾つかは帰ってきたけれど、また捨てて鍵をかけた!

いや、捨てさせられた。
灰になるまで、何も選べなかった、水の冷たさ、土の冷たさ、知らせたくなかったこと。立ち尽くす。

私は伝わるのも伝えるのも嫌いだから、いつも爪を切っているような一人の気分でいた。

それでも誰かの声を遠くに置いていた。私の名前を呼んでいたり、花火をやぁやぁと称賛していたり。何でも良かった。

そういったものを、また探して拾う。カティストゥータの新しくもない道。
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by sholitude | 2012-07-02 09:10 | カティストゥータ
冷たいお腹に手を当てる。
もし元気になれたら、私は大きなノートを買うと思う。色々なことを書きたい。

薄く輪切りにされたバームクーヘンの人生。

私が少し休みたいと伝えたら、座長は「カティ、もうずっと休んでいるじゃないか」と言った。
何一つ言い返せなかった。握るこぶしがどんどん白くなってゆく。
もし元気になれたら。もし元気になれたら。

仰向けの涙は点滴よりゆっくりと落ちた。この病院は天井が汚い。
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by sholitude | 2011-09-01 13:19 | カティストゥータ
新しい槍を覚えた。新しい戦いを手に入れたよ。新しい兵士のスペースに鳥の雛が潰された。それでもカティストゥータは明日飲む水のことを頭の上に浮かべています。明日も歴史を勉強して、予測しながら剣を振るいます。例え無様でも美しくあれ。
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by sholitude | 2011-08-11 00:14 | カティストゥータ
何故自分が幼いままなのか判った。連続していないからだ。
キラキラの断面が外気に触れた瞬間から酸化を始める金属みたいに、すぐに新しいままでいられなくなる。だから、破線の軌跡を残すことで内在する脆くて柔らかい仕組みを守っている。
獣の遠吠えが耳を触ってゆく。幸い、まだ足首の上は濡れていない。踏まれて強くなる植物を私は信じない。削られる前に飛ぼう。これよりしばらく、カティストゥータは遍在する。
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by sholitude | 2010-12-08 02:19 | カティストゥータ
魔法瓶の紅茶をすすった。遠くに行きたいと言ったのはカティストゥータなのに、紺色の電車に乗ってからずっと眠っている。することが無くて、文庫本に挟んだ写真に目を落とす。カティストゥータが嘘の卒業式で帽子を投げた瞬間、ぼくらのうちの誰かがカメラを持っていたこと自体が奇跡といえば奇跡だが、何度見ても冬が終わる日に手袋を脱いだような気持ちになる。荷物を軽くしようと魔法瓶を逆さにする。紅茶は嘘になっていた。鉄橋が終わる音がする。街だ。
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by sholitude | 2010-10-27 09:20 | カティストゥータ
何故地理にも動物にも詳しくない私が冒険家になったのか。今日は朝から晩まで、大きな一本角を持つがっしりとしたいきものの親子に追われていた。子の歩調に合わせているのか、それとも元より私を捕食する気が無いのか、足場の悪い川沿いを無我夢中で逃げる私を、彼等は至極ゆっくりと追い詰めた。
コンテナの中に逃げ込んでから何時間経ったのか。逃げる途中で岩に激しく打ち付けて、腕時計は無くなった。喉が朽木のように渇いているが、涙の水筒もとうに枯れている。せめて時間だけでも知りたい、知りたい、知りたいと願うとコンテナの冷たく波打つ鉄板にデジタル表示の時計が投射された。緑や赤や白にめまぐるしく色を変えながら(色だけではない、それはストップウォッチになり、カウントダウンになり、ノット単位の計測装置になっていたが、カティストゥータは気が付かなかった)私を喜ばせた。
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by sholitude | 2010-10-04 09:09 | カティストゥータ
大きすぎる軍服の裾に足を取られる。霜が押し上げた地面をザクザク踏む残酷さがカティストゥータには無い。沼を選んで沼から沼へひたすら前に進んではいるが、遥か後ろ光源は少しずつ弱く細くなってゆく。上官は中学受験で休みだから、一人で進む必要がある。空に舞う雨粒だけが踊っている。ベルトのおもちゃを持ってくるべきだったかもしれない。
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by sholitude | 2010-09-26 19:06 | カティストゥータ
影の先っぽが曲がり角、吸い込まれるまで見送って、千切れるくらい手を振って、色んな終わりがあるけれど、気配がやっと消えるのは、それよりずっと後のこと。
思い出すたびよみがえる、思い出すたびそこにある、指の先までしんとした、朝日がのぼるすこし前、カティストゥータは思い出す、誰かのかけらをたべている。
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by sholitude | 2010-09-15 09:00 | カティストゥータ
蝶は不具だった。左の触覚が付け根で千切れていた。人差し指と中指で羽を摘んだまま、夕日が地平線に触るまで固まっていた。私の虫かごに入るのと、花も無い野に戻されるとの、どちらにしてもなんて不幸な。何故関わってしまったのだろうと、己の虫取り網を呪った。5時の鐘が鳴るので、私は手を離した。蝶はふらふらと飛び、自己紹介をして去った。カティストゥータ、不幸でも幸せでもない蝶。私はまだ、喪うことを得るということを知らなかった。
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by sholitude | 2010-09-05 23:18 | カティストゥータ